
埋伏の毒
カグラギの妹、スズメをラクレスの元から取り戻そうと言うお話でしたが、終始ギャグ調で、カグラギ、ラクレスの大人コンビは勿論のこと、スズメの真意もギャグテイストに巧く誤魔化され先の気になる回でしたね。
ラストシーンまで存外現状を好意的に受け入れ、ラクレスの事を気に入っているお花畑なキャラかと思いきや、最後だけはカグラギとお揃いの着物を身に着け、短刀を抜き刃に視線を落としながら「泥にまみれて手を汚し、共にトウフ国を護りましょう」とカグラギと同じ方向を向いたセリフを放つ。
妹さんも二枚舌なんですね。
窓の外を見つめて兄を思う時にもお揃いの着物を身に着けている事からも、一人で着物を身に着けている時だけは本音が出ているのでしょう。
恐らく「ラクレスと共にシュゴッダムで死ぬことを望む」と言うのも添い遂げるではなく、道連れにする、死ぬ覚悟を持って事に当たると言うニュアンス。
「邪魔をするなら、兄様と言えど許さない」と言うセリフも、スズメの企てを邪魔するなと言っているんでしょうね。
土が合わない病弱だと言うのもトウフをカグラギに任せるための嘘かな?
ギャグテイストでニコニコキャピキャピするスズメと、顔面を灰色にしながら言葉を無くすカグラギの対比の裏でなんてやり取りをしているのか。
ただシュゴッダムの属国になるルートがスズメの計画通りだとすると、そこから何をどう転がすのか。
古今東西属国でまともな扱いを受けた国家なんてほぼ皆無ですよ?
スズメバチなので他人の巣、シュゴッダムを乗っ取るつもりなんでしょうか?
シュゴッダムがスズメの物になれば、トウフが飛び地になるようなものですし、属国扱いも形骸化ないし撤回できるでしょうが、果てさて。
しかし、あの派手な着物、非常にガタイが良いカグラギ役の佳久さんですら重いと言っていたのに、よくあの小柄な体格で着こなせますね。
革命政権
前回リタがヒメノは神の怒りで両親を失い、若くして即位せざるを得なかった。何処の国も似たようなものだと言っていましたが、なるほど。
カグラギは国家元首である両親を失い継承せざるを得なかった王ではなく、神の怒りの影響で暴政を敷いた国家元首を打倒し、国家を簒奪した王だったんですね。
それで神の怒りについてヒメノに問われた際に、なんとも言えない思いの滲む表情と声音で過去は過去ですと言っていたわけですか。
神の怒りが無ければ存外良い統治者で、後悔もあったりするのかも知れませんね。
或いはその際に強いた犠牲を思っていたのか。
デズナラクが畑を焼いた時に見せた、怒りを通り越して感情の抜け落ちた顔も、飢饉に苦しみ、食の重要性を誰よりも実感しているからこそ、それを脅かす存在が許せなかったと。
1話冒頭でのカグラギが民と共に収穫を祝い、「カグラギの殿のお陰です」と言われていたのも、飢饉に怯え苦しむ事なく収穫ができるのは暴君を打倒した革命のお陰だと言うニュアンスを含むんですね。
いやぁ、バックボーンが判明するとこれまでのカグラギのシーンも重みが違ってきますね。もう一度過去のシーンを見返したくなります。
余計な機能満載
ギラがカグラギをそこまで疑っていないと言っていたり、スズメの存在を聞き助け出そうと言い出したり、邪悪の王ロールはヒメノにウザがられヤンマに完璧に翻訳されている辺り良い子の部分が溢れすぎている。
エモい!
だけど、そのおバカな恰好は必要だったのだろうか?
ギラでさえ余計な機能と言っていたのに、何故Goサインを出した?
コミカルで面白くはあるのですが、主人公の行動が全く役に立っていない。
精々盗聴器程度の役割でしかないただの不審者と言うのは、如何なものかと。
恰好のおバカさもですが、初対面の相手、それも助け出そうとしている相手に事情の説明もなくいきなり邪悪の王ロールはおバカを通り越してただの愚かです。
可愛げよりも無能さが目立ちます。
カグラギと遭遇する、再会すると言う展開が必要だったとはいえ、ギラをただの不審者の愚か者に仕立て上げる必要はなかったのではないかと思います。
そこだけが今回のお話で少々気に入らない。
バエジーム
蠅モチーフなのに、仮面ライダーのようなヒロイックなデザインをしていてカッコイイですね。
胸の前で合唱された腕も蠅独特の脚を擦り合わせる動きを怪人に落とし込みつつ、デザインが不気味で良い感じです。
モチーフ通り機動力・旋回性能が高く、アクションもカッコ良かったですし、手を合わせ謝りながらも人を襲う言動不一致なキャラ付けも面白い。
この謝りながらも人を害する言動不一致なキャラクター性は、二枚舌で人を護るために汚い手段をとるカグラギとの対比にもなっていて良いですね。
アメンボに続いて、1話で死ぬには惜しいデザインとキャラでした。
タランチュラナイト
カッコイイ!
玩具のお陰で存在は以前から判明していましたが、CGの出来が凄く良い。
特にお顔が最高にカッコイイ。
やはりロボは顔が良くなくては!
白くスマートなフォルムに、青いカメラアイ。
バイザーを下すことでメカニカルで異形味の増した風貌になるギミックも人間とバグナラクのハーフであるジェラミーとリンクしていますし、タランチュラナイトの名が示す通りフェイスガードを下す騎士も彷彿とさせます。
個人的にキングオージャーのお顔が好きではありませんし、小型シュゴッドの存在意義に懐疑的なので、綺麗に纏まって顔も良いタランチュラナイトの方が断然好みです。
動きもジェラミー同様、スパイダーマンのようなワイヤーアクションを駆使した動きをしていて搭乗者と合致していますし、両肩から生えたサブアームも表情が付けやすく異形感が強調され正統派のキングオージャーとの差異を感じられて良い。
ただ映像としては引き絵が多く、折角の見せ場にしては迫力に欠ける面もあったかなと思います。
綺麗なCGなのでもっとアップで見たいです。